ねがい

「花の宴」収録




 初めて君を抱いた夜、僕は眠りにつくことができなかった。
 夢にまで見た君を手に入れた嬉しさと…君を苦しめている、まるで鎖のような罪悪感で…。

 自らの衣服に手をかけた君は、かすかに震えていたものの、抵抗しようとはしなかった。涙を流しもしなかった。ただ、声をあげないように…じっと、耐えているようだった。

 何故泣かなかったの…?
 何故、抵抗しなかったのだろう…。

 君も…僕のことを愛してくれていた…?
 いや、そんなはずはない。
 君は、僕を恨んでいるはずだから…。
 君は、自分の運命を諦めたのだろう…運命ら抗うすべを知らなかったのだから…。いや、抗おうとして自分の無力さを思い知ったときから、抗うのをやめてしまった様だから…。

 本当は、好きな人がいたのではないか…
 僕が、君の未来を摘み取ってしまったのではないだろうか…。


 隣でタオルケットに包まり、安らかな寝息を立てる君の寝顔をみていると…心が締め付けられる。

 君は僕を許してくれるだろうか…
 
 ……………

 僕を…愛してくれるだろうか………。

                                                                

                                                        fin...

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